オルタナ広告研究部
写真と北側の光。- 明治村 高田小熊写真館
みんな大好き明治村(愛知県犬山市)にある高田小熊写真館。
明治村の中でも結構マイナーな施設かもしれませんが、遊びに来ると必ず立ち寄ります。
撮影のときにアシスタントくんたちにも、写真教室の生徒さんたちにも、時にはクライアントさんにもよく言ってるかもしれませんが、光は写真にとってとても大事な要素です。
大事と言いますか、写真は光(が当たっているところ)を撮っているので光なくしては残念ながら撮影すらできません。
これだけカメラが普及してもあまりそのことを意識している人は少ないと思うけど、事実そうなんですよね。
今から100年ほど前の写真館は、現在のようにストロボなどの人工照明がないので、「外光をどう取り入れるのか」にとても苦労したそうです。
この写真館では斜めの屋根に沿った北側の大きく作られた窓にカーテンでディフューザーをつくり、光をコントロールして撮影していたそうです。
→明治村Webサイトより
これがまた柔らかくて美しい光が作られているんですよね。
一般的に、住居などを考えると光を取り入れるには「南向きが良い」と思われるかもしれませんが、実はこの北側の大きな斜めの窓というのは安定してとても素敵な光を作ってくれます。南側だと時間帯によっては直射日光が入って逆に撮影しづらいですもんね。それでは光が読みにくくなってしまいます。
北側の大きな窓にするとは、光をよく考えて建築設計されています。
もちろん当時のフィルムは感度も低かっただろうから、かなりシャッタースピードを遅く(長時間露光)しないと撮れなかったようで、人が動いてブレてしまわないように「首おさえ」や「胴おさえ」という固定する器具もあったそうです。
※写真右にある黒いスタンドです。
昔の偉人さんの写真を見るとだいたい椅子か何かにもたれ掛かっていますよね。おそらくそれは、長時間露光をしないと写真が撮れなかったからだと思います。
坂本龍馬の写真とか露出はどんなもんだったんだろう。
偉人さんのかっこいい写真でも、もしかしたら首の後ろに「首おさえ」の固定器具があるなんて思ったら結構シュールですよね。メイキング画像があったら是非見てみたいです。
カメラが普及する前の方が、人々は光に敏感だったかもしれませんね。ここに来ると、その時代の写真家さんの知恵や苦労やクリエイティビティの空気に触れ合えるような気がするのでとても気に入っています。
ちなみにスタジオが「写場」でレタッチルームが「修整場」。
いいなぁ、こんなスタジオ作りたいなぁ。
自然光でしか撮影できないから営業時間が日没までだけど、そんな仕事スタイルもいいよね。(ま、今も結構そんな感じですが笑)