オルタナ広告研究部
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
[「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? (山口 周さん著)」]
潜在的に感じていたことがそのままタイトルになっていて驚き、拝読しました。
いわゆる経営学で学ぶ「論理的思考」ということだけではこれからの時代のビジネスは戦えないというお話で、非常に共感しました。
もちろん「論理的思考」が不要ということではなく、”それだけ”では結局みんなが同じ考えになってしまい、どの企業も同じ戦略になるのでコモディティ化してしまう。数値化できるような解答では、AIでもできるでしょう。
そこで差別化の重要な要素として「美意識」が必要不可欠になってきています。
2010年代に入ってからは特にそう感じていて、今は多少後発でも上手にブランディングしてあっという間に業界トップになる企業もありますよね。
例えばCtoCのフリマサービスはたくさんあったし、ファッションのECサイトなんて数えきれないくらいある。
レシピを無料で見られるサービスなんてもう当たり前すぎるけど、ほんの数年前にできたベンチャー企業の価値が非常に高かったり。
iMacやiPod,iPhoneあたりを出した頃のAppleもよく取り上げられる良い例です。日本でいうとここ数年のマツダも素敵。
どうやらその「美意識」の中には、「ワクワクする!」とか「なんかいいじゃん!」という数値的では測れない価値があるんでしょうね。
もちろんビジネスモデルや仕組み・機能・サービスが優れていて、それは論理的であるんだろうけど、ただそれだけでは余程の参入障壁がなければ真似できてしまいますもんね。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)
でも残念なことに、「美意識」がビジネスに役に立つことに気が付き、具体的に取り組んでいる経営者やコンサルが日本にはまだまだ少ないと感じます。
本書にもあるように、千利休の力は偉大だったんだろうな。
どう自社をブランドデザインをしていくか。
企業のアイデンティティをどうビジュアル表現し、世の中に伝えていくか。
ここから数年は、どんな規模の企業にもブランディングへの取り組みや投資は非常に重要となります。
大企業もそうですが、中小企業や個人事業の方は特に必須の大きな課題になるでしょう。
先日の「フランス人がときめいた日本の美術館」の記事でも書きましたが、日本には古くから素晴らしい美学があります。ただ、ビジネス界においてどうやらここ数十年は忘れてしまっていることも多いように感じます。
昔の商いはもっと美を意識していたはず。日本人が持つ美的センスのアイデンティティをもっと強みに生かしたいですよね。
この事実を経営者や現場にどう伝えるか、どう取り組んでもらうか。
みんなをワクワクさせる!という目線を持ってくれるかどうか。
人口減の苦境の中、日本企業を活性化させるためにはクリエイターやコンサルはもっと頑張らないといけないと、年の瀬に偉そうに今年の反省を踏まえながらヒシヒシと感じ、来年の大きな取り組み課題としたいと思います。