オルタナ広告研究部
おかげさまで、10周年。
この8月で、広告写真の世界に入ってちょうど10年になりました。
10年。3653日。87672時間。
「早いもので」なのか、「やっと」なのかは微妙な感覚です。「まだそんなもんか」という評価のが大きいですね。
こうして撮影してきた写真を眺めていると、昔の自分に見られているような気がします。
2007年7月31日に5年余り勤めたIT企業を退職、2007年8月1日カメアシスタート。
送別会の高揚覚めらやぬまま、翌朝から生活が一変。下の写真はその朝アシスタント道具を腰につけているところ。
想像以上の世界に、痩せ気味だった僕の身体はさらに痩せていきました。
でも仕事が終わった後の深夜やスタジオが休みの日に練習するのも体力的には辛かったけど楽しかった。とてもいい経験をさせていただきました。
当時、写真家を目指すにはあまりにも年齢的に遅すぎるスタートでしたが、前職の上司や同僚・後輩含めたくさんの方から応援をいただきました。もちろん家族からも。その恩返しをしなければという気持ちが常にあります。
でも今考えると相当生意気なアシスタントだったなぁ。ライティングも何も知らないくせにね。
最近はマーケティング戦略立案や経営コンサルティングなど写真撮影以外の仕事も多くなりましたが、やはり写真の影響力の大きさには驚きます。
何時間もかけて言葉で伝えても、それをたった1枚の写真が超えてしまうこともある。しかも国籍をも軽く超えて。なんて魅力的なコミュニケーションツールなんでしょう。
これまで何十万回のシャッターを切り、そのうちの何枚が世に出ているのかは分からないですが、全ての撮影には思い出があります。忘れっぽい性格のボクですが、写真を見るとその時の心境や写真が完成するまでのストーリーをすぐ思い出せるんですよね。それが写真にのめり込んでしまった理由のひとつ。クリストファー・ノーランの「メメント」に近いかもしれないですね。
どれだけ突き詰めても、次の目標が見えてしまうから突き詰めきれないところもまた良い。そして写真が新たな出会いを創出してくれるのがとても楽しいです。
日本の写真の歴史はおよそ150年。
その中でも写真やカメラを巡る環境はこの10年で激変していますが、何かを伝えるための手段(見た人に対しても、自分に対しても)であることは変わりない。カメラの種類や機能が変わっても、その役割はこれからも変わらないんじゃないかと信じています。
写真は機械的に撮るものではなく、心で撮るもの。
シャッターを押すときは心が動いたとき。写真には人の心が写ります。
シャッターの数は、多くの出会いやストーリーで心が動きまくった証拠たちなのかもしれません。
もちろん広告写真を始める前までも心が動くことはたくさんありましたが、写真と出会ったことでそれをビジュアル的に表現できるようになったことはとても幸せなことだと思います。
やっぱり、「やっと」10年。
これからはどんなことに心を動かされるんだろう。どんな写真が並ぶんだろう。
毎日ドキドキしながら、これからも続けていこうと思います。